2012年05月13日

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2012年05月12日

美術館めぐり、池田あき子原画展、ダヤンのアベコベアの月

 阪神百貨店、梅田本店8階、池田あき子原画展、ダヤンのアベコベアの月→5月1日までへ。
 切れ長釣り目のまぶたから大きなぎょろ目ののぞくお腹手足あごの白い、鼻が小さく口元ふくらみの横に大きいキジネコ!ダヤンが異世界わちふぃーるどのタシルの国で暮らす日常を描いた絵本と画集からの原画展示でした。
 会場入口付近には樹脂で作られた緑頭のかもと一緒にドアを明け訪ねた部屋の中に迎えるダヤンとその後周りで騒ぎ飛ぶかも達4〜5羽の見えるカモナマイハウス、森の木々についた小さなドアを開け中に向日葵や靴や鳥を発見しているダヤンやウサギやワニや、三匹重なり肩に載って高いところのドアを開けている狐?のいる絵の中へと開いているドアの描かれたパステル画面のはまった等身大樹脂型の出口、傍らに樹脂製ハロウィン南瓜など置かれた入口の外へとドアが開き家々の扉を叩くダヤンやともだち白黒猫のジタン、ウサギのマーシィ、ワニやトカゲたちのいるところへ二階窓からウサギたちや狐たちがそれぞれに顔を出して呼びかけている絵のはまったものなど大きなセット付きパステル作品が並んでいました。
 ダヤンのアベコベアの月。手を腰にそそり立つ大きなダヤン、空には雲間の満月、足元には小さく横一線向こう遠くの森のシルエット地面は鏡の様に影を映していました。
 1、三日月の下には桜の花が満開で無数に花びらを散らすその手前川面に船を浮かべるダヤン川面に写る桜はいつしか雪へと変わり画面下へアベコベアの鏡面の世界の中へ入ってゆくとその下底には雪に埋もれる民家の明かり。
 2、黄色い宵待ち草の咲く真ん中に大アップのダヤンバストショット空の巨大な月の影の中には見慣れたようなタシルの風景が霞み浮かぶ。
 3、かくれんぼをするダヤン、階段室へ石壁の入口を入ろうとするダヤンの頭上へ視線を伸ばすとエッシャーの上と下のようにその壁の続く先はそのまま見下ろす通りの壁へ天井とおもったら石畳の上ににやりと笑う影を伸ばして民家の入口へ向かうダヤンの上から見下ろした小さな姿、画面をさらに上がるとゆがみながら通りをはさんで向こうの民家が立ち上がり夜空の景色へ、画面下では壁を下り、にやりと笑う猫二匹影絵の赤旗の下がる傍らアーチの向こうに見上げる緑の木立と青空が見え左下に頭を抱えて目を閉じるダヤンの大顔アップ。だからかくれんぼはいやだったんだどうすればいいの・・。
 4、鏡の中にみんなを見つけたよ、壁の鏡の中のテーブルを囲んでパーティーを開く14匹、でもテーブルの上の食べ物や運ばれてきた飲み物はみんなどこか変、金魚鉢になったカクテルグラスを掲げる白のふわふわお化けやグラスのかわりに靴の載ったトレイを持つウサギ、ラッパをグラス代わりにしたりトレイに本を載せて運んだりクラブ片手にオレンジ黄色ゴルフボールのお菓子を食べようとする魔女や花の入った花瓶をグラス代わりのワニ、ボルトナットの盛られた皿、四羽のひよこが鍋から顔を出し、鏡の中からダヤンはこちら向き額縁の外のダヤンと手を合わせ泣き顔、何故だかぼくは混じれない。
 5、紫の夜の大木の枝の途中で黒板を出し授業中のふくろうの先生、幹の左右上下の枝にはいろいろな種類のふくろうの生徒たち可愛く並んだ三つ子兄弟も入れて7羽ほど、画面真ん中幹の向こう右から上体を伸ばしてダヤンが顔を出す、ここも少し違うみたい。
 6、見つけたよ、納屋の戸を開けて除きこむダヤン、中では鳥やワニなど骨たち五匹がびっくり、壁には梯子カンテラ枝ぼうき棚の上には段ボール箱床には駕籠から赤いりんごがこぼれる景色。
 7、ピンクの夕空が紫の夜に暮れかかり地平線に色を残す手前浮かぶおどろおどろしい枝ぶりの木に挟まれた古めかしくゆがんだ館、二階窓からは骨たち二匹がワイン片手に踊り出し空を飛んで来るもう一匹に家の手前でワインカップを上げてボーンダンスを踊るダヤンと骨たち三匹アップ。
 8、川の向こうを楽しそうに家影へと向かう懐かしい仲間たちの水鏡に映る影、川を渡れば戻れるかもでも今は掌の上の熱い蛍が気になるの。蛍を手にダヤンの上体アップと川の手前アジサイの上の夜の闇に黄緑に光り舞い飛ぶ蛍たち。
 9、月明かりの差し込む窓の外街並みには時計塔が幾つも見え家壁から張り出し看板の様に飾り時計が掛かったり走る汽車の正面の丸の中にも時計がつく景色、黄色い月まで時計の歯車を出しています。家の中にも掛け時計置時計振り子の箱時計はと時計。ローマ数字の盤面に全部勝手な時間をさして・・ダヤンはテーブルに向かい花びらスタンドランプの前で羽ペンにインクをつけてジタンに手紙をしたためます。どの時計を見たらいいか鳩に言付けてください・・鳩がはと時計から三羽部屋の中を飛んでいます。

 10、朝の丘の草むらの中に椅子を出してもたれ座って最高のめだまやきを味わうダヤン草の間に置かれたポットの蓋やコーヒーミルの引き出しを開け卵おきからもボトルからも顔を出すウサギや猫や仲間たち。空には雲をまといなびかせ目玉焼きの形の太陽が・・日中の月かも・・。
 11、草むらに濃い緑と黄緑やピンクの花草チェッカー模様を作って駒になってチェスのダヤン、向こうではコーヒーカップを持った白のウサギの女王とルークの世間話に花が咲き本を読むビショップ形の背の椅子のジタン、とウサギの黒女王、二色市松ケーキをナイフで切る白と黒ポーンの丸お化け、騎士の姿のワニ、木立裏に黒のキングは背を向け隠れ右手前上体アップの赤マントに宝石の輝く王冠を被ったダヤンキングがカップ片手にトーストをかじるところ・・ぼくはもう一度朝ごはん。
 12、目を覚まそうと部屋の中コーヒーサイフォンにポットからお湯を注ごうとするダヤン、傍らには四足に靴を履いて背に顔のある木椅子が腕を使ってコーヒーを入れ、洋服ダンスの引き出しからはウサギが顔を出しタンスの開いた扉の中のマグリットのような雲が流れ出てくる青空へしっぽだけ見せてもう一匹ウサギが飛び込むところ壁の絵の中の蓮池にはワニが背を見せそこから床へ蛙が水たまりを作って飛び出し降りるところでした。
 13、雪を被った街並みから雪に覆われた円錐丘の上の一本杉のところまでろうそくを持った行列が続くのを見下ろしてこちら右に聳える塔の上では火の灯った蝋燭を縁においてバイオリンやラッパでダヤンたち三匹音楽を奏でているところ。
 14、緑味青の空の前雲間に沈みかける大きな月をバックに月を慰めようとダヤンたち三十何匹で雲の上の大演奏会、五本蝋燭の灯る飾り燭台を二本立て木琴ドラムオルガン笛リュートチェロコントラバスバイオリンチューバホルントランペットトライアングルトロンボーンちょっとした正装でバイオリンを弾くダヤンに指揮のジタン、ラッパを吹くウサギや並んでオルガンを弾くウサギの親子たち、三匹羊のバイオリン、ワニ馬コウノトリのコントラバス、お化けたちの木琴サイン入りドラム、こちらもお化けたち相似三匹トライアングル宙に並び隣では三人の魔女が一本ほうきに乗って上を向き下を向きラッパを演奏などなどなど画面いっぱい演奏中。
 15、名残惜しいけれど船に棹差しアベコベアを後にメザメの朝へ向かって紺の川を漕ぎ出すダヤンアップを下から見上げて・・。
 アベコベイビィ(天使と悪魔)。ペン書き彩色の漫画。三人の魔女たちに赤ん坊にされそうなダヤンの夢から生まれた、天使と悪魔に分かれて羽の生えた二匹の赤ちゃんダヤン。魔女のぼうしをとって逃げる悪魔ダヤンとついてゆく天使ダヤン、雲間まで逃げ安心、雷大太鼓を見つけ天使ダヤンの制止も聞かず面白がってならす悪魔ダヤン、ピシッと稲光がでてやっぱり見つけられつかまりそうなところをほうきを奪って逃げる悪魔ダヤン、地上では七夕なのに雨降り、逃げる内に空も晴れ虹が出て虹色アイスキャンディーを売っているところにやってきてシャーッと脅しアイスを全部とって食べる悪魔ダヤン、お腹ごろごろ胸焼けでダウンしているところに追いついた天使ダヤン、夕やけを食べると胸焼けにいいと介抱、元気になった悪魔ダヤンは今度はほうきで星をどっさり集め独り占め、天使ダヤンがそれを元に戻そうと二人で星を取り合い大暴れ星がきらきらと降り注ぐ空模様に驚いた友達がダヤンを起こすと星空には天使と悪魔のベイビィ形に星が並んできらきら光りみんなでわあっと歓声を上げました。
 三人の魔女タイム、ジンジャー、ピクルスのところへ行って星の瞬きと蜘蛛の選ぶカードと大壷のあぶくから7月7日11時と誕生日を教えてもらったダヤンがパーティーに森中のともだちを招いたのはいいけれど魔女たちを忘れ、怒った魔女たちに誕生日を取り返されて赤ちゃん猫になってしまいやっとのことで誕生日の光の球で羽根つきをする魔女たちからジタンたちが取り返してくれた誕生日で元に戻って少し反省したという、ダヤンのたんじょうび。手足を伸ばし爪を広げて万歳ポーズの赤ちゃんダヤンが可愛い。や、ダヤンが川の傍に見つけた駄菓子屋さんにいくとそこは懐かしい味のするお菓子を売るナマズおばさんの店でお客をじろじろ見て古いお客はほったらかし新しいお客に喜ぶおばさんになくなくせんべいをもらって切ない味を味わいながら帰ったり狐のフービーと友達になったり・・。雨の日川の水かさが増す中を駄菓子屋に行くと店じまいの最中、来ていたフービーと一緒に手伝い、話を聞くと死んだ息子が7年目に生まれ変わってやってくるのを息子の好きなお菓子で探しているということでした。もうあきらめて店じまいというおばさんにお菓子をもらい食べながらフービーと一緒に川原に座り考えているとフービーが喉にからんだと立ち去ってしばらくすると川から声が聞こえぼくは川になったからもう一度一緒に暮らそうよと水が跳ね上がってナマズの形に・・おばさんは喜んで川に帰り、戻ってきたびしょぬれフービーに聞くと難しくて川には化け損ねた声だけぼくさという話、見事な水のナマズの姿にうそが本当になったのかもと二人並んで帰ってゆくナマズの駄菓子屋。の原画群。
 ペン画の、ダヤンと恐竜のたまご、の鞍をつけた恐竜に乗るダヤンたちや翼竜に捕まえられて飛ぶダヤンとマーシー、美しい花火ほか沢山の絵、ダヤンクラヤミの国へ、の洞窟の中をカンテラを持って行くジタンとダヤン、メイポールのポールから伸びる沢山のリボンの端を持ってみんなで周りを回る楽しそうな絵ほか小説の挿絵が多数、ダヤンのカラータロットカードもありました。
 太陽と月の顔のはまった柱の間の透かし枠飾りのあるテラスからわちふぃーるどを鳥瞰してそこで遊ぶ住人たちの細部の超絶細密になった大きなイラスト原画、一ミリの中に二本耳のウサギや点なのに姿になってる四人でオールをこぐボートなど細かいところまで描かれた街森海景色、樽酒を飲んで酔っ払うワニたちや遠足リュックを背負った羊の隊列、バグパイプを演奏する狐やりんご収穫のウサギたち尖り岩の先の塔から顔を出す魔女たちやテラスでバンドネオンを演奏するダヤンたちほかどっさり描きこまれたわちふぃーるど。水彩原画。
 タシルの紋章のどっしりとした赤い大旗を掲げる古い家の前で骨のお客を前に占いをしたり、鳥の彫り物のある椅子を並べ椅子をなおすワニや木の妖精にニット帽をかぶせ鏡を見せたりおかあさんに付き添われた子うさぎにニットショールを着せたり商売に余念のない羊たちやたこ焼き?を焼き破れ団扇で煙を扇いでにおいを飛ばす狐たちやリスやウサギの子達に大なべからスープを振舞う豚がいたりその真ん中ではダヤンたちが地面に白墨で図を描いてその上を飛びながらゲームの最中、タシルの冬の大市の大きなパステルイラスト原画。
 アベコベィビーの大きなイラスト原画やダヤンの河口湖木ノ花美術館の紹介映像などなど。
 表ではダヤンのほかにも猫!の雑貨屋が大量出店。それぞれにねこらしいシルエットラインのねこの小物たくさんどっさりごまんと、ほしい〜っつ。

 次週は心斎橋大丸北館14階イベントホール、日春展5月11日〜16日まで、の予定です。
 綿密な手間のかかった美しく見事なスーパー写実の沢山見られる白日会関西展、阿倍野近鉄百貨店9階近鉄アート館、5月19日〜23日まで(8階美術画廊も関連展示)、も楽しみです。

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2012年05月06日

no.135

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2012年05月05日

美術館めぐり、−イタリア・ファエンツァが育んだ色の魔術師− グェッリーノ・トラモンティ展

 西宮市大谷記念美術館、−イタリア・ファエンツァが育んだ色の魔術師− グェッリーノ・トラモンティ展→5月27日まで、に行ってきました。
 色彩の豊かなマヨリカ焼の産地として知られるファエンツァに生まれたトラモンティ、陶芸学校で陶技の基礎を学びつつ、彫刻にも関心を寄せて、はじめは彫刻家として評価を得て行きます。ほどなくして絵画にも興味を持ち、その後は陶芸、彫刻、絵画の技法を様々に応用して活動の場を広げていきました。そのトラモンティが生み出した作品は彫刻、テラコッタ(素焼きの彫刻)、陶芸、絵画と多岐にわたります。なかでもマヨリカ焼の技法を駆使して作り出された色鮮やかな額皿や、彫刻的な量感のあるフォルムに結晶が浮き出る釉薬を施した器物、そして色彩と厚手のガラス釉を組み合わせた陶板などは、トラモンティ独自の様式美を見て取ることができます。もう一つの活動を示す絵画は、黒色で縁取りされた独特の表現方法を取り入れて、身近なモチーフを描きながらも、陶芸作品に共通する詩的な雰囲気を感じさせてくれます。本展では、初期から最晩年までの活動の軌跡を、約150点の作品でたどりながら一作家の多彩な創造の全貌に迫ります。−チラシより。
 白地にモチーフの黒輪郭から外に向かってかすれ影の厚く滲む縁模様に中を黒描線から片側にかすれ広がったり白地の中央にかすれ浮かんだり外地をうめたりする彩色、大小砂目粒の浮く表面を綺麗な原色、白、黒、青味緑、群青、赤、オレンジと限られた色を使って出来ばえ美しく色づけされたモチーフは猫!、女性、洋ナシ、箱、オレンジ、ぶどう、りんご、割れてない柘榴?たまねぎ?、ピーマン、ウェッジ(海草)、ワインボトル、魚、包丁、パイプ、脚付きグラス、背の低いグラス、半月形に切ったスイカ、ぶどうの葉、RやNやPの文字、手、腕、下半身の白いトルソ、中心を色づけされた二重丸を、何本もまわりに出て隣の二重丸とつながったり空間に切れたりしている四角い帯で無数につなげた図像、帯線を何本も綾取り紐の様に交差させた]字型などなど一つ一つデザイン的にまとめられスタイルのできた何種かの単純化定型を色々な彩色で画面に適度に間を取って並べ平面空間にレイアウトしたり奥行きのある空間に置き並べる形で描いたりしていました。全部で30点ほどのくっきりした絵画作品が陶芸作品を囲んで二階展示室と一回展示室の壁に並んでいました。
 猫と静物画。大きな横楕円顔に耳が生え丸に青点の瞳の両目、鼻は頭頂からの下向きの鉛筆のような形に鼻先が赤く鼻先三角を]字線に延長しその中をAの字の様に渡す赤い口の下向き小三角、眼の上には眉の様に鼻から横棒が引かれ上を左右緑と赤、画面左の右頬を赤丸がすみ左は目元鼻眉の角から頬までの黒から緑にじみあご下からまっすぐ下へ伸ばす二本の四角い脚は首の付け根左右赤と緑、膝は黒横線の下向けがすみその下は左右緑と赤の丸に中央黒こすれ足先は黒線の下赤くぼかし右足先から足首には緑がすみ画面右側に猫背から垂直に降りるお尻、前脚と揃えて下まっすぐ横線の足下線、後ろ足の膝カーブが右から前足四角まで伸び一緒になって下へ下りその上側横腹は背中へ向けて黒影から赤、赤がすれ地の白へ、後ろ足側面には画面右から赤緑と二本の縦太帯が模様についている猫!が画面右に座り、その左後頭上までの高さのこちら向きオレンジの木箱の中に細長い凸の字型に横長四角の栓のついたボトル、群青四角のラベルの中に大きく赤いRの字その下は四分の一円の外内を黒白に塗り分け白地に緑擦れを載せた模様の瓶側面、その左前に四角い輪郭に白地に黒の四分の一円片面ぼかしの影の入って底からは面取り四本線とその間に三つの緑影四角の入った背の低いグラスコップ、木箱の上には大きなピーマン赤影入りと小さなりんご緑影入りが並びそのバックは猫の耳下の高さで上下二分する群青と赤地右上には太陽のようなオレンジのような中央赤影と黒点入りの円形、猫の背の上後にもそれより少し小さめ中央オレンジ影と黒点々入りの丸いオレンジが浮かんでいました。
 Rの字は他の絵でも瓶のラベルや女性や男性の肖像の首の横、木箱の上や猫!の横腹などにも現れ何を表わすのかは不明でした。
 女性と猫。画面上に髪の毛の上部が切れ首を画面左にかしげた角度の女性、まっすぐな直線眉に鼻筋が細長い上開き四角で描かれ小鼻の画面右側のふくらみが小さく四角く見える顔向き鼻眉の角から目にかけ黒くシャドウがつく美人顔、青い瞳の木の葉形の目に木の葉形の中を赤く塗った唇左耳がシニヨンを結った髪の前に見え青いカラーを巻いた首から肩まで白く広い半円襟が載ってその下は緑の洋服、緑の影の付く小さな丸い粒を首前に右手でつまんで持って上に向けおやゆびと人差し指の隙間から胸元赤ボタンの二個並びがのぞいて白袖の細くのぞく緑の長袖に縦赤ストライプが一本入っていました。女性の胸の手前オレンジのテーブル上に右に先の作品と色は変えてほぼ同じに描かれた猫、細長い黒縁白シルエットに膨らみ位置に赤がすれと黒点々の重なり載った洋ナシ、緑帯の入ったまっすぐな柄のパイプ、細長い凸の字型群青に赤Rのラベルの口の赤いワインボトル、もう一本左後ろにワインボトル、半円形を二分し上下を緑と赤に塗り分けた模様とその下外黒影の四分の一円内白地に赤かすれが載ったガラス影がついていました。女性のバック右側には赤地に黒縁白抜き色載せウェッジ(海草)吹き出しのような形が真ん中茎に幾つもつながった形で右からのぞいていました。女性のバック左側には黒縁白縦棒を赤地との境線に左の群青地に雪か星のような白点が散りばめられていました。
 図像の幾何学的構成が面白い作品群、卵。地の白と中央横一線の赤帯の上に黒い影を滲みぼかしながら三十一個の黒影の上に白で楕円の光を斜投影陰影形に浮き立たせた卵がランダムに固め置かれていました。
 ワインボトル。グレー地に中央縦一線の太い赤帯の上に腕時計のように丸い塊となって重なり並ぶ長細凸の字型ボトル十六本、白地に赤、青味緑、群青、黒で三段の四分の一円模様に様々に色をつけたボトル柄を重ねていました。
 右上がりに22本左上がりに21本の青赤のストライプを黒も6本まじえて綾取りの様に前後ランダムに交差させストライプの束で大きな]字型をつくった作品。
 裸婦。先の女性像と同じ顔の描き様の裸婦が左を顔に画面を横切る太ももから上アップで体をこちらに向け横臥で横たわり右手を額から耳横に頬杖をついて真下に肘を向け画面を上下二分するバック群青ぼかしと緑のベッド面のベッドの上に肘をついていました。白く光る部分から徐々に薄いピンクがかかった体色にふくらみにあわせ黒と赤でかすれ陰影をつけ陰影のできたボールのような2つの乳房、左手は体の後ろ向こうへ下げ下腹部のふくらみを表わす曲線陰影とわずかに持ち上げるガードルラインの入った左足、右足ともどもかなりの太さで描かれていました。右手で頬杖をついた顔は右肩の方に軽くかしげ左肩から太ももにかけての上側には布、右脇腹下には黒ふち陰影を伸ばす白四角に載って小さなりんごが白地に赤のせ彩色黒い縁影を伸ばしていました。デザイン化されながらも体の動き量感体重移動がポーズによく出た気持ちよい色描き味の裸婦でした。
 70cmほどもあるような円形の大きな皿状陶板に絵付けし分厚い透明ガラス釉をかけた作品群、表面の平らなガラスの内部に粗かったり細かかったり立体貫入が入り内部鏡面反射なのか貫入の隙間を顔料が登ってくるのか絵の具がもろもろと立ち上がって見えのぞき込むと粗細かい立体むら模様がきらきらと美しい輝きを放っていました。顔料は黒と白、藍色とセルリアンブルーイエロー赤オレンジと原色を使い黒白のほかに藍とセルリアンブルーだけ使って魚とナイフフォークと布とボトルとグラスを重ねた美しい作品やバックイエローとブルー線描の組み合わせの駆けてくる馬と星ほか四色カラフルに使った沢山の作品など限られた色でスタイルを作っていました。モチーフは絵画同様のスタイル化された幾つかを平面構成したものが多く楽しげなレイアウトも気がつけば組み合わせが時にシュール、額から鼻の筋が垂直に降り大きな丸いラインを描いて直角に曲がって鼻頭となりそこから口元のラインがまた垂直に降りてあごへと曲がり首へという形式でかかれた目鼻口の大きな女性像が左むき横顔で手に真珠をつまんで顔前に差し上げているという絵柄では額の前に何故かオレンジが浮かび、まな板?に載った魚を中心にグラスやコップ包丁や洋ナシなどがレイアウトされるのにまじえてパイプが載っていたりと深く考えるとシュール味が出てくる作品群、猫!も沢山今度は前足を折りたたんで背を丸めかがんだ横姿からこちらを見る緑猫!青猫!立ち上がった横腹にトリコロールストライプとRの赤文字が入る白猫!がいたり座った後足に]字ストライプや10の字がついていたりとこれもどこかシュール。猫!とピーマンとぶどうの葉、猫!とウェッジ(海草)とオレンジ洋ナシなどの取り合わせ、猫のいる風景のレイアウト?。先と同じ横顔女性が真珠のかわりに同じポーズで洋ナシを差し上げていたりスタイルも定型化、初期の頃のマヨリカ焼にあった網に乗せられ焼かれる魚が時を経て登場、いろんなモチーフを組み合わせデザイン的に並べてレイアウトした作品が変わらぬ真骨頂かという感じでした。二階に23点一階に4点ほど同じ形式で作った作品と回り縁に文字の入った3点が額皿の幅のある白い角柱台座にそれぞれ載って林立していました。
 二階一室を使って日本の伝統工芸を思わせるような表面に油膜に映る光の反射を思わせる白の混じる大きな水跡むらの滲む模様で何とも言えず綺麗な群青や浅葱緑の釉薬を全面掛け載せてその上に補色系の茶色しみをさらに斑に透かしのせた表面にたんぽぽの綿毛を何千と重ねたような結晶模様が斑に浮き出て見事な作品群が器やオブジェ大小やセットなど40点ほども並んでいました。
 何ともいえない群青と群青水色むらに茶の載った雫形の細口が長く伸びたり細長いひょうたん型だったり細長い円筒のくびれて上下に円錐ふくらみを作ったりのオブジェ、丸細枕を縦に二本つないだ形の花器大小、短い丸俵型の壷、むら群青水色一色階調の素敵なうつわ皿壷、抹茶緑の半径ほどに丈の短い円筒形に中央小さい円形ではまり込むつまみ付き平蓋、厚みのある平たい帯をホッチキスの針のような形にまげてもち手にして短い注ぎ口の突き出たポットと、同じようなもち手胴形のカップのティーセットなど。
 中空洞の短円筒形を器の様にへこませて縁に大きな厚みのある水の溜まるような手水鉢風にした一抱えもあるような大きな「二重構造のフォルム」と題される結晶釉のオブジェ群、縁の平らで胴のなだらかに膨らむ臼のような形からタイヤのような形の角丸形、浮き輪の様に丸みを持ったもの下を小さく上を大きく膨らんだドーナツを重ねて椅子にしたようなもの膨らんだ丸短円筒型の下のほう回りを糸で縛ったような凹みの入ってドーナツ2個重ねみたくなったもの短円筒の周り中ほどにもう一巻き太厚帯を巻いて滑らかにしたようなものなど沢山並んでいました。群青水色むらの丸座布団形中央座り跡のようななだらか凹みの丸く平たいオブジェ。薄白肌色にエメラルドグリーンのぼかし載った臼型オブジェ。大きな厚みのある角丸角縁の手水鉢風平べったい円形鉢、乳白色薄肌色にエメラルドグリーンで綺麗。浮き輪のようなライン群青に白群青のむら茶斑が乗ったオブジェ。赤い金属光沢メタリック感のある一様な釉薬の鉢形オブジェ。海老茶紫の厚み縁の壷型オブジェ。緑茶緑斑に茶色のかかったオブジェ群。鈴のように曲面あわせ角の尖った側面真ん中を一周する筋のできたオブジェ。白マット地の平ビーズのような形のオブジェなどが並んでいました。目に気持ちよく見ごたえありでした。
 アーチストや美術学生とのコラボ作品。落書き風顔肖像の入った色四角が縦横ぐるりと整然と十八人取り巻いたポットや自転車やヨット気球や帆船パイプやグラスなどの絵の入った色四角の取り巻いた茶器、手を挙げてつないだ落書き風人物が沢山で何段も逆立ちになったりしながらで取り巻いたティーセット、アーチストの絵の入った陶板、教会から吊り下げられている十字架形に組み合わされた陶板に描かれたキリストの絵の写真などがありました。
 立体陶板。盤面から飛び出した肌色の首の太いお尻の大きい左向き馬に跨ったマントを肩にかけた半裸裸足の青年が右手に鳥を乗せて差し上げ繊細なはだかの左足をこちらに出して空を見上げ空の左には鳥のような雲のような三つと空の右には六弁の花のような太陽のような大きな形が浮かんでいるところバックは陶板に水をためたように濃い青の透明インクのような透き通ったガラス釉がほどこされ枠から続く肌色と見事な色対比、不器用風素朴な土の作りようも好ましいお気に入りでした。
 天使を膝に木製背もたれの高く伸びた飾り椅子に座る右向き聖母、伸ばした左手の先には杖をついたもうひとりの天使、右上空にも右向きで飛ぶもう一人の天使、天使と同じようなのに聖母の頭の輪には模様があるので被り物とも見えるつくり、濃緑の釉薬が陶板浮き彫りの彫刻の角丸に尖った先やふくらみで金から玉虫色に滲み光って綺麗。
 同じ釉で大丸皿の縁に長く四角く角なだらかに面取りされた手足の先だけ貼り付けたキリスト像のある作品や首の太いお尻の大きい馬の背に横座りリュートを弾くトーガを着た繊細素朴なつくりの青年の彫像などもありました。
 チラシにも使われている可愛い女の子のバストショットの描かれたもち手付き大壷の裏面には横向き制服青年、もう一つの同じような壷では顔傍にレモンを浮かべた女の子の裏の青年が左手に洋ナシをつまみ右手に魚を強く握り締めているところでした。
 若い頃の油絵、大まかなリアルイラストタッチの静物、羽ペンの入ったインク壷やカードマッチ箱本スケッチブックパイプ机の上の散らばったモチーフを斜め上から見て色面机面に並べたレイアウトや早い筆跡ながら質感のにじみ出た皿の上のネギと魚や青絵ピッチャーに生けられたピンクの薔薇の太線を重なる途切れ輪状に並べた味のある描きよう、苺とさくらんぼの童画水彩イラストのような赤に緑や茶オレンジの混じるぼっこり太ったおいしそうな描き様などがお気に入り。
 他にもすいかや洋ナシ包丁やグラスやパイプや魚を並べカラフルにレイアウトしたり額をつき合わせた人や網に載って焼かれる魚や緑の単純猫などを描いたマヨリカ焼の食器やプリミティブ風味の模様の壷や皿、ピカソやマティスを髣髴とさせる顔のある壷や皿オブジェ、若い頃の老人やキリスト女の子などの頭像彫刻などなど。
 詩情漂う楽しげな世界と色形美しい結晶釉の造形に遊ぶ鑑賞でした。

 次週は阪神百貨店、梅田本店8階、池田あき子原画展、ダヤンのアベコベアの月→5月1日までと兵庫県立美術館、日本の印象派、金山平三、移り行く時間の中で描く日本の風景展→5月20日まで、の予定です。
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2012年04月29日

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2012年04月28日

美術館めぐり、すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―、常設展、五浦六角堂再建記念、五浦と岡倉天心の遺産展

 京都国立近代美術館、すべての僕が沸騰する―村山知義の宇宙―→5月13日まで、に行ってきました。
 20世紀の初めに生を享け、ベルリンでダダや構成主義などの振興芸術を吸収して1923年に帰国、まもなく「マヴォ(Mavo)」や「三科」といったグループの活動を通じて大正末期から昭和初期にかけて日本の近代美術に決定的な影響を与えた村山知義。物体を貼り込んだ造形作品や、トランスジェンダーなダンスパフォーマンスなど、ジャンルを横断した目覚しい活動は同時代に多くの共感者を生み出しました。本展は、1920年代に展開された美術の仕事を中心に、その時代背景を伝える国内外の作品・資料を参照しながら村山知義の宇宙的な多様性を紹介する、初めての大規模な個展です。油彩、コラージュ、版画等の希少な現存作品や雑誌「マヴォ」を一堂に集めるほか、自ら設計し新興芸術運動の拠点となった自邸兼アトリエ「三角の家」をはじめとする建築と室内装飾、「朝から夜中まで」(1924/1926再演:築地小劇場)に代表される舞台美術、ポスターや装丁、商業美術のデザインなど、その多彩な仕事の全貌を記録資料とともに紹介。村山知義がドイツ滞在時に大きな影響を受けたカンディンスキーやクレー、活動をともにした和達知男や永野芳光の作品も展示します。さらに「子供之友」などの児童雑誌を中心に発表された、子供のためのイラストレーションの仕事と、その原画を多数紹介。詩人・児童文学者の妻、籌子(かずこ)の文章をはじめとする数多くの児童文学に添えられた洒脱なイラストは、10代から晩年まで挿絵作家「Tom」として活躍し、今なお瑞々しい魅力を放ち続ける村山知義のもう一つの面を見せてくれます。村山知義が夢見た全方位的な創造力の解放・沸騰の軌跡を検証する本展をぜひご覧下さい。−チラシより。
 構成主義に影響を受けた曲面を重ねる造形感覚で油彩半立体立体作品と量産、舞台美術や建築・室内装飾へと結実させてゆきました。会場入口辺りには同時代の内外作家の作品群。リシツキーの正確な二次元三次元の微小図形や分円、線、帯、色面、幾何学図形をスマートに構成してカラーとモノクロの混じった具象的に意味ありげな抽象構成を作ったリトグラフ作品群、太陽の征服(10点組み)とケストナーマッペ、プロウン(8点組み)が面白く、画面いっぱい強いフリーハンド曲線図像と幾何学形の図像群が重なり並んでカラフルに抽象構成の歌を歌うようなカンディンスキーの小さな世界やクレーの作品も並べられていました。
 お気に入りは東郷青児の彼女のすべて。ブルー基調にカラフルな七色光彩を帯びるよう色帯をグラデに並べて立体の表面模様を作ったような丸味を持ってメタリックな青かんなくずを敷き詰めたようにも見える未来派的でキュビズム的なバックに埋もれてよく見ると自らもかんなくずのような入組む立体キュビズム体で左斜め向きの椅子に座った女性像が両手を膝元に左頬を見せうつむき加減から画面右方向へ大きな瞳で見上げる視線を流し赤い唇をきゅっと結んでいる姿が見えました。画面一面を埋める青基調に七色アクセントの混じる未来派色キュビズム的立体構成が面白くいつの間にかその中に浮かび出す女性の姿とキュートな瞳唇が魅力的な作品でした。東郷青児の新進の若い日の作品だそうです。
 あちこち渦を巻くような茶色の中に筋になって赤がさされメタリック風味にも見えるような抽象的な絵があったり岸の緑と茶色と空、水の色と渦巻くようで爽やかに半抽象的に描かれる川景色があったり柳瀬正夢の作品もありました。
 繊細なデザイン写実を重ね画面構成をする和達知男の洋ナシと欧文入りピッチャー型酒瓶と金属パイプの細部の細い姿が繊細なビル橋景色を背景に机上に置かれた静物作品や顔に繊細なデザイン陰影の着いた眼光強い丸眼鏡の自画像を写真の女性や風景建物と文字と眼鏡欧老人や人ごみを沢山コラージュした小さな貼り重ね密集の中に浮かべた作品。右に外路地建物景色の見える四角い窓のある室内で茶壁左の黄色いデザインバンジョーを背に椅子の片丸背柱を右手で囲いながらデザイン陰影丸眼鏡の傾けた顔でパイプを口にやる黒装束に房の垂れた赤い電気スタンドの傘のような円錐台形の帽子をかぶり机上に伸ばした左手に青トランプを三枚束ねて持ってピンク赤斜めチェッカー模様のテーブルに茶色いデザイン化されたピッチャーとガラスコップとハートのエースを出しておいた全体デザイン風味の肖像画、眼鏡をかけた自画像、などもありました。
 村山知義、サディスティッシュな空間。様々なパンのような色と陰影丸みを持つ造形物が板を重ねたような影をつけられながら面白いカーブや切込みを描いて幾つも重なり薄緑やグレーの切り込まれたポットのような造形や朱や白の曲がった管、注ぎ口?赤紫白のストライプや黒ひだゴムのようなカーブ、デザイン化された天使の片羽根のような白地に青で羽模様ラインのある造形、肌色から出た桃色の丸いふくらみに赤紫の丸芯、遠くから見ると浮き板曲面立体にも見えるような茶色、ベージュ基調のシックな色形構成が気付かないほど微妙にかしいだ平行四辺形のキャンバスに描かれていました。
 サディスティッシュな空間の形状構成を布や木、紙など表面質感の違ったものに広げ様々な半立体、立体に応用していった作品群が実際の作品のほかに現存する写真をパネルにしてモノクロで沢山並んでいました。
 十五歳の少女舞踏家ニッディー・インペコーフェンのダンスの写真と映像。写真に撮るとどの部分も絵になるような不思議なポーズを連続させて舞踏する少女。しかし短い映像で見る限りでは体操競技やサーカス、バレエのようにそれ自体インパクトのある動きで感動させるまでの見せ場はありませんでした。
 村山知義は彼女から影響を受けダンスパフォーマンスにも熱中し大沢たかおのような風貌で先の軽く巻いたボブスタイルのモガかつらをつけ四角いあわせ布のスカートでへんてこりんにポーズして踊る写真や自宅でヌードであごをを大きく上げ下げしうずくまるポーズを連続させて撮った写真。重なり裸パンツで逆立ちする男二人の上からもう一人が裸で吊り下がって手を広げ重なった写真などがありました。
 演劇舞台美術では、朝から夜中まで、のセット、白に黒で連続丸や亀、魚、数字などが描かれた立体曲面を多用しテラス状に幾つも板舞台を組み上げ廊下を渡した立体セット、左のほうには試験管の底の様な形の屋根の構造物から丸電灯がたわみ伸び、中央上には黒十字架や大太鼓、右上のほうには大きな黒円、縄梯子が右天井のほうまで続いてゆく立体構成の中で場を移し上へと登り下へと下りながら演劇が進んでゆくというものらしいです。上演中の写真と舞台セット模型が展示されていました。
 三角の角が角丸になって角に曲面窓の付いた平べったく白い三階建て、丸窓や斜め長丸の窓が規則的にや不規則に十二と入口のついた側面、当時奇抜な美容室の建築デザインにも携わりました。自宅兼アトリエの三角の家の建築や演劇ホール葵館の内装なども手掛けました。
 雑誌マヴォ。美術団体を組みクレーやダダに熱い思いを語る記事などを載せた美術雑誌。ショウケースのほかに樹脂ファイルに入って閲覧可能状態での展示が何冊もありました。
 演劇ポスターや商業ポスター装丁などの膨大な量のグラフィック。
 靴と靴下を履いた駱駝、ワンピースを着たカバ、チョッキのオットセイ、スーツにかばんの鹿、軍服?の猪、チョッキのキリン、ストライプシャツにオーバーオールでハンマーをついたトラ、正装?のシロクマ、運動着?水着?のへう、靴下靴のカンガルー、シルクハットに正装のライオン、赤い上着に蝶ネクタイカマーベルトに革靴で座るザウ。へうは豹、ザウは象、ゲーム・ゲームのカードの動物たち。
 ラグビーゲームを並んで見るモガと紳士とひげ男、ゲームに興奮しながら下を見ると足でつつき会い財布をすられている連続線画挿絵。
 母親になったモダンガール。モダンコートの下に赤ん坊を背負いモダンヘアーで座り込みモダンな靴の脚を抱えてファッション雑誌を片手に口元に持ってゆく棒がチョコであるのが傍らに落ちているchocolateの箱で分かるモダンガール横姿。傍らには育児書が投げ出されまん前に扇風機かとおもったらそんな形の電気ヒーターを置いて横顔しかめ面の線画イラスト。
 妻、籌子や他の作家と一緒につくった童話絵本の原画が沢山。イラストタッチも変幻様々。絵本閲覧コーナーも。
 三匹のこぐまたち。細線画着彩ギザギザ毛並みが目の周りも、赤い上着に緑のネクタイチェッカーズボンの一匹、白シャツ黄色いズボンにオレンジサスペンダーの一匹、長袖長ズボン首までの青いつなぎのもう一匹、手足の長いこぐまたちの十二のお話。
 それぞれもらったハンカチーフ、胸ポケットに入れたり首に巻いたりベルトにしばったりあひるが引っ張っても大丈夫おかあさんが洗濯三つ並べて干してくれます。
 お風呂が嫌いな三匹は掛けてある服の後、砂糖樽の中、敷物の下と隠れているのを訪ねてきたあひるに見つけられ仲良くお風呂に入れられて綺麗になりました。
 牛乳嫌いの三匹ですがおかあさんが沸かした牛乳に角砂糖を入れておいしく飲ませてくれました。
 落ちていた三本三色の汚い肩掛け、お姉ちゃんは悲鳴を上げて逃げお父さんはステッキでつついて捨ててしまえと・・お母さんがごしごし洗濯綺麗になって三匹の首に巻かれています。
 鶏さんからもらった綺麗な三本の笛、でも綺麗に鳴るのは一本だけ、かわりばんこに使って夜はお母さんがエプロンのポケットにあずかってくれます。
 汽車に乗る三匹、屋根に乗る、網棚に載る、床に寝そべるどろどろに汚れてしまうと困っていると車掌さんがシートに座らせてくれましたなるほど心地よいと三匹感心。
 お母さんのお土産の本と飛行機とハーモニカ、本のように読めたらいいのに飛行機の様に飛んだらいいのにハーモニカのようにふけたらいいのにと三者三様それぞれ羽根や機体に合成された姿を想像、お母さんは大弱り。
 もらった靴は少し大きめ、窓に掛けておくと燕が持っていってしまいました。燕が旅立ち返してくれる頃には三匹の足も大きくなっていました。赤い靴下と靴下止めも燕のプレゼント。
 傘を持ちスカート姿ぼうしをかぶって包みを持った雪だるまの奥さんについていく三匹、袋の中身は何だろう。三匹を驚かしてやろうと奥さんは二人の子供たちを雪でつくりました。袋の中身はたどんだったのね。
 魔女が一つだけ実のなったりんごの木の下で隠れぼうしを干しています。それを見つけた三匹、一匹が被ると姿が消え二匹は探し回り自分が消えてることに気付かないこぐまは二匹がおかしくなったと泣き出して・・それを見ていたりんごも悲しくて泣き出し落ちて帽子に当たり帽子が取れて元通りの三匹はりんごと帽子をお土産に家に帰りましたとさ。
 迷って帰り道を聞く三匹に鶏が教えるかわりに卵をくれそれを焼くとあったまってサスペンダーズボンのひよこが生まれ帰り道を教えてくれましたとさ。
 森に落ちていたお菓子の絵その通りに作ろうとしても味が分からない、絵をなめてみると砂糖とクリームだ!何故かわかってできましたとさ。
 しんせつなともだち。油絵のようなざっくりと濃密な質感描き味毛並みの緑のフードコートのウサギが雪の日に蕪を拾いひとつ食べ一つはロバさんへ分けてあげようとロバさんの家へ・・留守なので置いてくる・・さつまいもを拾って食べた赤いショール腹掛けのロバさんはかぶらを見つけ羊さんの家へ・・留守なので置いてくる・・白菜を食べていた首からのニット帽の羊さんはかぶらを持って鹿さんの家へ・・留守なので・・青菜を食べていた鹿さんはかぶらを持ってウサギさんの家へ・・帰ってきたウサギさんはやっぱり親切な友達が持ってきてくれたと分かりましたとさ。
 おなかのかわ。角張った太黒輪郭の画面いっぱい大きなシャムネコ!水彩色面のしっかりした描き味。隣の背の赤い太い黒輪郭のオウムさんと電話でお話、互いに食事に招待。猫の出す食事は質素、オウムの出す食事は豪華、お肉に果物、クッキーは2枚自分にとって残り498枚、全部食べてまだ食べたいという猫に僕でも食べろよと冗談を言ったが最後ぺろりと飲み込まれたオウム、それをとがめたスカーフ赤輪郭のヨーロッパ風おばあさんもぺろりと飲み込まれ、道で猫に会ったロバを連れた農夫も飲み込まれ、行進してきた兵隊九人象十五頭を連れた王様お后様も飲み込まれお腹の暗闇の中でクッキーと一緒に散らばっているところ、最後に飲み込んだ二匹の蟹がちょきちょきとお腹を切ってみんな出てきました。オウムはクッキー二枚を持って満足、猫はお腹を縫うのに丸一日かかりましたとさ。
 他にもお母さんと一緒に洋服姿の子鼠チュウちゃんにオランダ人形や象のぬいぐるみ馬のおもちゃ木製人形兵隊人形たちが花やお菓子やバタを持ってきてくれるお話や横顔にシルクハットを載せた三日月とリボンの結び目に顔のある赤いリボンと模様つきゴムまりが三人向こう広がりの台形テーブルでナイフフォークで食事中、隣にはずうずうしいキツネ五匹兄弟の家があるというリボンとキツネとゴムまりと月、沢山のコイヌがシルエットで行列しているのを半パンの女の子が後姿で眺めている絵、長く伸びた帽子を被ってもセイの順に並びなさいといわれ後姿で背の順に並ぶよそ行き服の後姿の子供たちの端へと導かれている絵、キャンディー屋の前で身なりのよい紳士から飴玉をもらう男の子女の子、ひねた顔の鶏とあひるや犬の探偵が登場するお話などなど沢山の印刷物と原画群、流行の変顔のイラストのルーツもこの頃からあったのかというようなイラストなどなど、三匹のこぐまたちの古い白黒アニメーション上映コーナーもありました。
 赤ちゃんや家族をはじめ油彩や鉛筆スケッチの肖像画群(犬の肖像も含む)、舞台セットのイラスト指定図や衣装指定図、出し物ポスター。忍びの者をはじめ小説や評論集。映画監督の仕事。など八面六臂の活躍の跡が展示されていました。

 常設展では菅野聖子の作品群に注目。詳しい画面構造は忘れましたが理知的な独自の世界の美の追求にわくわくして目が釘付けになりました。
 レヴィストロースの世界U。製図線だけで構成された世界を横に長い大画面、モスグリーンと茶色を使って二pほどからの正確な製図線の升目をつくりそこに右上外と左遠くに中心を持つ2つの同心円ラインを重ねその上に縦升目二つほど斜めにわたる短線を無数に整列させて色線の響きあうコンストラクションを作り上げていました縦三分割横四分割ほどの線濃度の違う大きな干渉模様の四角い升目が遠めに見える構成でした。
 ランジュバン方程式。線構造の載る地にカラフルなレゴブロックの色のようなはっきりした緑赤黄青白と使って幾何学的図形を描きむらなく塗り分けそれに紺とシアンブルーを含めた赤黄青白明るい色で上から線構造を載せて楽しくカラフルにリズミカルな画面を作り上げていました。長い横画面緑の地の中央に尖りを下に右斜めにかしいだ青い大きな正三角形を配しそれに重ねはみだして黄色く細い三日月型の上半分を曲線で切り取り去った左ふくらみ曲線三角形を置きその上を通って大きさのわずかに違う円をずらし重ねてできる曲線二つで挟まれた大きな円弧を作る白を右へ重ねそれと三日月破片右上の角と青三角形の上辺との交点を一致させた辺りから左へ三日月幅と同じくらいの長さの曲線赤短冊形を青三角上辺に添わして配置していました。白赤紺と水平にそれぞれ微妙に角度を変えて間隔幅2〜3pの三種の平行線列が無数に引かれ交差しかしぎそれに交差する斜め縦線が無数の升目をつくった上から20cmほどの長さで斜めに規則的にわずかにカーブする太線四本並びがセットで音符の様に間をとり明るい平行線の入った緑の上に幾組も置かれ太曲線の端からはそれぞれ上下の片側へ右と左に垂直セリフのような短細線が出ていました。同じようにセリフ線の出た長さ5cmほどの1p幅の並行斜め短冊三本セットも曲線角度色を同じに太曲線に寄り添って幾組みも並べられていました。それら線色合いは赤白黄色シアンと四種それぞれで重なり合いながら緑地に色の浮き沈みを見せ面白く、太曲線短冊線ともども青三角の左右から青三角の辺にあわせ斜め方向を左右と変えて規則的なリズムを持って幾組と並んでいました。青三角の内や外には衛星軌道を回るように円弧細線に載って赤紺シアンなどの小さな円形が大きさを変えいくつか散らばっていました。赤面積の上では短冊線が紺色に反転しシルエットになっていました。製図線の構造がこの作品ではカラフルな地と線の色を持って理知的から音楽的へと趣を移して見事に大胆繊細精密リズミカルに楽しげなキッズカラーの画面を作る今回一番のお気に入り作品でした。
 いたるところ微分不可能な関数族のみたす方程式(2)。大きな黄色の正方形画面上に赤細対角線を一本ずつ引きその中心に小さな四角を残して隠れた下から、ずれた二つの中心を囲む二種の青細線の同心円を画面一杯数p幅で広げ覆い製図し中心からのまばらの放射状線を加え二本の対角線方向にはそれぞれ幅1mほどで数p幅の平行線を引いて同心円と升目をつくらせた上に重ねて中心からは同方向にわずかに弧を描き膨らむ赤青紫などの太め線をつないで幾つものいたるところ微分不可能なジグザグ線にして同心円の周りへと細かくランダムギザギザに回転させ外に向かって渦を巻かせたり並べたり広がらせていました。外に向かって長くなってゆくジグザグ一つ幅をいくつか中を塗りつぶしたナイフのような細い曲線三角にジグザグ線を交差させて中を紫水色白赤緑黄色オレンジなどで塗りつぶした図形を作って外長くから中心に向かって短く小さく幾つも配置していました。どこか未完成の味を残しながらも美しく面白い作品でした。
 正方形の色地に細線で製図した作品が8点、正三角形を角丸にしてプロペラの羽の様に角を中心に集め三方に向かって並んだものを一筆書きにして無数につなげ並べてゆく作品、紺地に白細線でそのパターンをランダムに穴あき空間をつくりながら製図して行った物を二枚ずらし重ねて載せ重なりにゼムクリップのようなかたちが幾つもできて見えるようなデザイン。
 赤地に白と水色で同様の三角線パターンを載せ白では三角形の並べ方で横三段の一つ幅ラインの間を間を空けながら上下につなぐ平行四辺形並べを四段に作った作品。
 グレー地に白と紺で二枚の三角パターンを重ねた作品。
 赤地に縦横の紺升目の縦線の間をわずかにかしぐ斜め白横線で間隔を中央に向けてつめてつないだ作品、右と左の中ほどで斜めの角度が反転し谷と山になっていました。
 三本ずつセットになった縦線と1本ずつの横線で升を製図し重ねて斜めに十字線を連続で製図して無数に並べた作品も濃い地の色の上に2色から4色へと線や十字の色を変えながら画面四分割に十字の向きを変えたものや並びを細かくしたもの色数を増やしたものなどデザイン製図の美術味で4作品並んでいました。
 日本画では緑肌色と手前にむけ並んだ二種の釣鐘型篭目竹あみかごを伏せた上にとまった一羽のカラス、広げてつかむ足先から全身まで漆黒の墨シルエットで見事わずかに嘴先から目の辺り尾羽の先に薄墨描写のリアルな表現へと筆を使う技巧の冴え、竹内栖鳳の遅日。や嘴の赤くて背喉頭の黒灰色羽の文長が桃色牡丹の枝に三羽遊ぶ図と桃の花をバックに桜の枝に止まった羽の薄緑と緑喉の紺腹顔の薄紫に目周りの黄色、口元のグレーから真っ赤な嘴が印象的な鸚鵡ともう一羽の黄色い小鳥の遊ぶ図、精緻で生き生きとした描写が魅力の今尾景年、白桃鸚哥図・牡丹小禽図、大きな屏風の金地の上にわずかに横霞む青水色の海空緑の松並木、大空上空に気持ちよさそうに手を広げ形のよい裸の胸を大きく広げて斜め横姿で浮かぶ若い天女の大アップが見事な西山翠嶂の春霞なども見ごたえありでした。徳力牧之助の梅之図壷の青味地にちっちゃなピンクの梅蕾と茶色の枝振りのデザイン的表現も可愛かった。他にも沢山の作品。

 この後、京都高島屋グランドホール、五浦六角堂再建記念、五浦と岡倉天心の遺産展へ。
 天心が創設した日本美術院の第一部(絵画)が明治39年に五浦に移されると、横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山らは、この地に移り住み制作活動に没頭。日本近代絵画史上に残る傑作を生み出しています。・・−チラシより。
 岡倉天心の立てた日本美術院の資料、制服、書画、天心らの邸の見取り図、作家らの若き日の学校での課題、画家らの使った道具類、文部省からの任命書、天心がキューレターとなったボストン美術館とやり取りした書簡、英語で出版した書物、院展の表紙絵37年分などとともに主要四作家とその他の作家らの作品が展示されていました。
 圧巻は木村武山の作品群。大作小春と杉戸絵が展示されていました。
 木村武山、杉戸絵、松図、富嶽図、草花図。大きな幅広の杉戸襖が正面四面左二面右細二面と据えられ、正面中央右に描かれた1mもあろう太い松の幹がうねり奥へと伸び左右にも龍のような太い幹枝をうねらせながら右に上下二本左へも一本と伸ばしその上に発色の良い緑の松の葉群れが広がりながら幾つかの塊になって茂りそれぞれ芽の先の三つの膨らみを中央上に、周りに小判型に若葉緑の松葉筋模様をつけた葉塊を幾つも揃わせて整然生き生きと伸び並ばせていました。迫力の枝振りと目にも鮮やかな緑が暖かな生命感をみなぎらせていました。
 その正面四面の裏面に富嶽図。左に富士の頂上と見えるごつごつと丸みを帯びたひときわ高い藍色の岩かたまりがもこもことけむる白雲の上に姿を見せ藍の丸岩の隙間渓筋模様に金色を置きながら聳え出て左や右下のほう右横の方へと頭をのぞかせ並び立つごつごつと丸っこい山嶺峰模様を金泥の霞む上透明な煙のように壮大に広がる白雲の間に垣間見せていました。
 左二面の裏に草花図。二十幾つも塊になって放射状に葉を垂らし茂らす墨シルエットに若葉緑の垂らしこみまだらの葉模様、精緻な墨の水跡輪郭ラインできっちりとかかれた姿が一面に載ったぼけた斑を引き締め葉の隙に十ほどずつも小さな長丸の鮮やかな朱色の実を垣間見せながら金の葉脈を光らせて見事な景色風情を創っていました。
 圧巻、木村武山、小春。六曲の屏風が左右隻、右隻右から三曲目に立ちそびえる向日葵、2つのこちら向きうなだれる大きな花と葉の向こうに垣間見えたり向こうを向いたりの十ほどの花びらの黄色が見える花をつけどっと茂ったその葉模様細かな葉脈網目に沿った緑斑から葉周りの枯れしなび景色穴あき茶色味色模様までボタニカルアートのような繊細緻密なリアル描写。向日葵の手前には裏表とこれも色を変えながら赤紫ピンクの繊細斑葉の表面模様を描ききって赤い葉鶏頭が六株ほど頭をのぞかせ右から四曲目にはそれらの後に立ち上がる二本に分かれる幹の渋柿の木、長丸い柿の実を尖った先の黒ずみ汚れもリアルに、美しい色で一つ一つ描ききり何百と千近くたわわに実をならし左右に伸び行く枝葉を右隻全般と左隻右から三曲目まで茂らせ伸ばしていました。右隻右から五曲目には葉の間に落ちた柿の実をついばもうとするのか葉鶏頭の向こうの地面に身をかがめる灰色頭の鳥の姿も見え左隻には一曲目に離れて二本二曲目に固まって八本三曲目に三本と細くまっすぐベージュから節のあたりに竹色の見える笹竹が伸び幾本かは柿の木の枝ぶりの前で笹の葉を広げていました。二曲目から三曲目へと伸びる柿の木の枝先には左向き横姿頭背が青く顔喉が黒く羽先黒に白の載って尾の橙の小鳥、二曲目から四曲目にかけて手前下から左にかしいで赤い葉鶏頭の頭が二株三株と伸びてその下向こうには薄茶色に長い茎葉を倒して七つ八つ穂をたわませる粟が六曲目まで重なり描かれていました。淡い目の絵の具加減で何とも言えず美しい色合いをかもしながら少しも手を抜くことなく何百とある柿の実や穴開きかけの葉葉鶏頭向日葵小禽たち笹竹粟と繊細精緻リアルに丁寧に大画面を埋めて微妙な表面模様を描き重ね一つ一つ一枚一枚に表情を持たせて描ききる気の遠くなるような筆数のものすごい筆力。圧倒されました。今回のお気に入り一番。
 木村武山、秋景。掛け軸横画面、薄墨に浮かぶ大きな月は見事に光りその下手前にかかって花開く大きな百合、十一枚の葉と白い蕾が右から伸び右下手前には白く開いた大きな朝顔、右に開きかけのもう一つと蕾が左右二つ、透き通るような水跡薄墨に濃淡のたらしこみの蔓葉模様が下手前左に向かって伸び、そのバックには淡い薄墨色の微妙なぼけ霞みの中にフジバカマ?や先に球の付いた草やススキの葉?が何本もかしぎあいながら薄墨や金の気味の混じる水跡シルエットを重ねていました。
 下村観山、狐婚礼。掛け軸縦長画面墨描き、おぼろ月の浮かぶ左奥に薄墨シルエット右手前下に濃い墨で聳え立つ左右にもこもこと丸固まりになる葉模様を幾つもまとわせた背の高い針葉樹、画面左右奥に向かって消え霞む薄墨で何本かその姿を並べている木々のずずっとふもと光るような森奥に向かって手前右から現われて左に弧を描きながら中央右の木の根元左奥へと後姿で消えて行く狐の婚礼行列、右の方担いだ駕籠は薄墨で重厚なつくりを側面に浮かべその左には濃いシルエット裃姿の手前二匹と森奥へと消えて行く画面に見えている薄墨の計十四匹、細い手足裃の細かい部分まで見えるような気のするシルエットの描きようが見事、森奥へと霞に消えて行くようなわずかに浮き出す後ろ姿の薄墨表現も見事。
 横山大観、下村観山、竹の図。二曲の金屏風墨描き左隻に大観の竹、中央左画面下外からまっすぐわずかに右へかしいで画面上外へ伸び上がる竹、節が右下がり左下がりと変化をつけながら斜めに入り輪郭もそこが左右にゆがみ盛り上がって竹らしく、竹の右には下から笹の葉群れが幾つかの塊ずつ広がって頭を出しちょっとはなれて右には画面高さ下三分の一強ぐらいまで細い筍が左右の皮先と先端部に沢山とくねくねと縮れを作って筋を出しながら伸び上がっていました。右隻には観山の竹、画面中央下左から右上へ向かいうねっと伸び上がり中央へ向け左にぐるっと一回転、9の字のような丸形を造って右上へと伸びて折れていました。丸型の途中の節から左右下上へと、折れた先の下あたりからも左右上へといくつか塊に笹の葉群れを伸ばし奇想の姿にバランスをとりながら竹らしさを添えていました。
 下村観山、牧童。掛け軸縦長画面、下左に左向き黒牛、四足膝までと背の上向こう側に白ぶちが見え、その右向こうに聳える大樹、濃い深緑の葉群れは塊重ねになったその下に茶色の滲み出す表現、その中をうねる様に灰色の樺模様を見せながら伸び上がる先とがりの幹枝、牛の手前には薄灰緑の地面を肌色の道が横切り左端の方には鋭い枝が地面から生え、木の根元右には小さく二人の牧童が休み座りこんで手前一人は右向き立て揃えた膝上に両肘を組んでその中に顔を埋め薄紫羽織のもう一人は横座りを崩して右のほうへと虫を追うかのように両手を差し上げ伸ばしていました。
 下村観山、達磨図。掛け軸縦長画面、洞窟の中をのぞくと左むき横姿白衣で金色の釜壷を傍らに座禅を組むやや細面の横顔の達磨、岩の上には紺と緑の絵の具を掛け垂れ流させて描いた草模様が幾筋も滴り落ちていました。
 菱田春草、羅浮仙。梅枝の左へ伸びる青味灰の霞むバックに左斜め前を向いて静々と歩く羅浮仙、髪には両サイド上の花留め飾りと中央の金の鳳凰、白に紫の竹節のような衿模様に青霞む着物胸下からの腰衣には薄墨の桐と唐雲と鳳凰連続柄、前で二段に蝶結び二本足元へと垂れ下がる腰紐はオレンジ色の白輪郭、切れ長の清清しい目鼻にふっくらとした顔立ち丸っこく膨らんだ姿でなだらかな肩から掛けた墨描きの透明羽衣を軽くつかまえていました。
 横山大観、海暾。掛け軸縦長画面、ベージュの空を黄色くぼかし染め、たなびく雲をオレンジに染めながら海も黄色く染め光らせてその向こうに没し去ろうとする朱の太陽の上端が画面下から四分の三あたり綺麗な輪郭で水平線上に見え、そこから綺麗な青色の海にあわ立つ白波模様をつけながら寄せて手前ベージュの砂地から灰茶の岩模様が斑に浮き出す砂浜上に流れ寄せる肌色陰影に泡立つ波、広く面積を取った砂浜上の肌色にあわ立つ波景色が面白い夕陽のきれいな色美しい絵でした。
 他にも岡倉天心の絵の師匠の女流画家奥村晴湖の菊の生けられた長い白壷の下を歩く三匹の蟹の濃淡墨の走る筆遣い跳ね筆の足の描き様の面白い横行自在賛画やそのままの写生でないスタイル描写のはいった日本画的伝統が垣間見え面白い観山、大観、春草らのレンコンくわいを描いた学生時代の課題画、沢山の赤い花金に縁取られた青い葉の茂る樹上を飛んだり並んで枝にとまったりカラフルな鳥たちと樹下の草の間の白牛が童画のような趣の荒井寛方、聖牛図、階段が付き円になった石台の中央の丸泉から水を汲む顔つき可愛い南方衣装の朱が美しい女たちとはるか上向こう丘の上に円筒に高い石塀を渡してアーチ窓を開けた聳える城壁の異国情緒、堅山南風の作品、校舎の前で馬に乗った白装束の左向き横姿片手を上げる天心の周りに鳩の休む樹と金に光るたくさんの門下生の顔、似顔の巨匠も何人もいる金と緑の美しい平山郁夫の日本美術院血脉図。天心の言で小道具ナシのロダンの力感ポーズに倣い座ったポーズから形相で弓を射る力のこもった手姿をする袈裟姿の禅僧を彫った平櫛田中の活人箭ほか平櫛田中らによる天心の木彫やブロンズなど彫像群。海面と砕け飛沫を煙らせる波とピンクの空に聳える岩壁と小さく舞うかもめを輪郭線を使わない没骨法の影をつけた新たな岩壁描法で描いた作品、短横線を重ねすりガラスを通してみたような樹木模様を使ったもの砂丘の地平線の向こうや斜面に帯を引いてもこもこと木立群が並ぶ情景を遠くまで遠望してゆく実感よく出た風景に手前に小さく頭手拭で母子がほうきを肩に歩いてゆく作品など菱田春草の作品群。院展の表紙絵小品群では灰地に軽やか曲線を重ね墨線の風神雷神が二人して雲間でぐるぐると輪になって走り回るのが可愛い前田青邨の作品やオレンジ黄色緑茶水色を組んだ抽象デザイン的構成の柿の枝葉と実、水色の影が面白い島多訥郎の作品や水色の空に雪の単純斑白図形の乗った赤富士と紺の単純曲線の山並み下手前には金線の柳やプリンの絵のような花芯の椿や笹竹や梅や松が金を含むめでたくも単純豪快な描画デザインで並んだ片岡珠子の作品などに注目。
 木村武山に感動の展覧会でした。

 次週は西宮市大谷記念美術館、−イタリア・ファエンツァが育んだ色の魔術師− グェッリーノ・トラモンティ展→5月27日までと阪神百貨店、梅田本店8階、池田あき子原画展、ダヤンのアベコベアの月→5月1日までの予定です。
posted by ニャオ at 01:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする